「ワンオペ育児」とは
最近よく聞く「ワンオペ育児」という言葉。
以下①~③のうち、皆さんご自身、またはお知り合いの方がどれかに当てはまることはありますか?
②仕事前に家事全般をしてから子どもを保育園へ。仕事が終わった足で保育園お迎えと家事全般、子どもの寝かしつけなど、ほぼ一人で担当。配偶者は仕事が優先。
③一人親で、頼れる人が同居または近くに住んでおらず、仕事も家事も育児も全部一人でやっている。
上記の①~③は「ワンオペ育児」の典型的な例といえます。
①は単身赴任家庭 ②は共働き家庭 ③はシングルマザーですが、一般的には、どのように定義されているか、見てみましょう。
配偶者の単身赴任など、何らかの理由で1人で仕事、家事、育児の全てをこなさなければならない状態を指す言葉である。母親1人を指す場合がほとんどで、「ワンオペ育児ママ」という派生語もある。
「ワンオペ」とは「ワンオペレーション」の略で、コンビニエンスストアや飲食店で行われていた1人勤務のこと。1人で全てをこなす過酷な状況から、それを行っていた企業がブラック企業だとして社会問題となった。
こうしたブラック企業の「1人で全てをこなす」状況と近いことからネットを中心にこの言葉が使用されるようになった。
(2016-9-21)(出典:朝日新聞出版社 コトバンク)
働くママがワンオペ育児に陥る最大の要因は、非協力パパ?
ネットに上がっているさまざまな記事に触れるたび、「子育ては本来、夫婦で行うべきことなのに妻にばかり負担がかかっている。子育てにおけるパートナーシップ(育児分担)が必要!」「ワンオペ育児の解決は夫婦のパートナーシップ!」という言い分が目立っているように感じます。
ただ、データをみると、日本人男性の育児時間は他国と大きな差はないことがわかります。
課題は家事時間が非常に少ないということ。そのため総合的にみて、7か国中最低という結果となってしまうのです。あなたのパートナーはいかがですか?
家事や育児に関することを器用にやってのける男性は、20歳代~35歳くらいまでの若い方に比較的多いようです。
年代によって差が生じるのはなぜなのかについて、私たちなりに、ある仮説を立てました。
中学校時代の教育の影響によるものではないか?と。
例えば、家事や育児スキルを育む「家庭科」は、1988年より前は男女別の教育で、「家庭科」は女子生徒だけが履修、男子生徒はその時間は「技術科」を履修するといったものでした。
31年前に、一部選択制ではあるものの、ようやく技術科・家庭科として男女別々に学ぶという壁はなくなりました。当時中学1年生なら現在44歳です。
今では、「技術・家庭」は男女共通科目として平等に学べるようになりました。
全面的に共通科目となったのは1998年の21年前ですから、その時に中学1年生なら現在34歳です。
そんな背景も影響して、44歳までの男性は家事や育児への理解、分担することへの抵抗があまりない世代で、かつ35歳くらいまでの男性は子育てや家事は夫婦で行うべきものという価値観が定着しているのではないかと考えられます。
逆に言えば、配偶者が45歳~50歳代になると、「家事や育児は女性の仕事」という固定概念があっても不思議ではないのです。そうした中学校時代を過ごしているため、一概に個人を責められるものではないと言えるかもしれません。
もし、あなたが「もっと家事や育児を手伝ってよ!」と、配偶者に対してイライラしているとしたら、そのように学んできた背景も理解したうえで、「せめて、○○は助けてくれない?」「○○は分担してくれない?」と働きかけてみてはいかがでしょう。
実際、男性の中には、家事や育児の経験がなく自信がないため、「何をしたらいいかわからない」、または「手伝ったら、段取りが悪い!とやり直された」など、気持ちはあってもスキルがないことを嘆く男性も少なくないのです。
一方、女性側も「頼むのも面倒」「私がやった方が早い」と、働きかけすらしないケースもあるようです。でも、長い育児期間、ワンオペから脱出するには、時間と手間をかけてでも、やってほしいことを明確に、具体に、伝えること、スキルがないことを前提にわかるように教える必要もあるのではないでしょうか。
でもこのように「子どもを育てるために協力をし合う」過程は、夫婦のコミュニケーションを深め、円満な家庭づくりにもつながります。
そばに頼れる人がいなくても、地域にはたくさんの支援者がいる
子育てをしている女性は既婚者で、配偶者がいる人ばかりとは限りません。
さまざまな事情でワンオペ育児に陥っている女性はたくさんいると思われます。
また、近年シングルマザーが増加しています。シングルマザーと言ってもその環境はさまざまで、親と同居、あるいは親が近くに住んでいて、いろいろ支援してもらえるケースもあれば、親と死別、あるいは距離が離れているなど、頼れる人が周囲にいないというケースもあります。
また単身赴任家庭の場合も、頼れる人がそばにいない、という点で困るケースが出てくることでしょう。
そんな場合は、ベビーシッターや、全国的に整備されているファミリーサポートなど外部に協力を求めるという方法があります。
豊中市には多様な子育て女性を積極的に支援してくれるさまざまな支援機関やネットワークがあります。
中には、子育てママ同士が集まり、交流するような居場所づくりをしている団体や、しばらく仕事を離れている方の社会参画や再就職前のブランク解消などを目的に、地域でつながる事業を実施している団体もあります。
「子育てだけに専念するのは卒業したい!」「一人では限界、助けてほしい!」などと感じたら、地域にもあたたかな支援の輪があるということを、ぜひ知っておいてくださいね。
時間的なゆとりができたら、ネットワークを通じて、一緒になって趣味を楽しむ、得意なことを極める、勉強する、資格をとる、再就職活動をする、困っているママを助ける、支える側の一員として地域で活躍する…など、自分がこれからやりたいことを見つけ、キャリアアップの大きな足掛かりとなってくれるに違いありません。